アンティークレッスン 古代ローマ時代のゴールドリングを購入する前に知っておくべき事

 

古代ローマ時代のゴールドリングを購入する前に知っておくべき事

 

数千年もの時を超えて目の前に現れてくれる古代ローマの金の指輪は、現代のジュエリーにはない壮大なロマンが宿った指輪です。金という素材は数千年を経ても腐食などなく、そのままの姿で残るため、古代ローマの空気がそのままタイムスリップして目の前に現れたように感じる事ができます。

これほどに興味深く魅力的な古代ローマ時代の金の指輪ですが、正しい情報を知る事が難しいのが現実です。興味があって購入をしたくても、実際には何が良い指輪なのかわからない方が多いと思います。古代のジュエリーはとても難しい分野ですからプロフェッショナルはほんの一握りですし、良く分からない分野だからこそ贋作や価値のない作品が高く販売されていることがあるので、購入する時には慎重になって頂きたいと思います。

古代ローマの本物のジュエリーを購入する前に、いくつかの基本的なことを知っておく必要がありますから、現在のアートマーケットの動向も踏まえて出来るだけ分かりやすく説明致します。

まず最初に知っておくべきなのは、古代ローマの金の指輪は中世の金の指輪に比べて希少性は少ないということです。

例えば、世界で最も重要な個人蔵の指輪コレクション(コッホコレクション)には240個の古代ローマの金の指輪(紀元前1世紀から5世紀まで)と20個の中世の金の指輪(11世紀から15世紀まで)があります。なぜなら古代ローマ時代は中世よりも金は一般的によく使用されていたからです。また、古代ローマ時代の指輪は、多くの場合、持ち主と共に墓に埋葬され、2千年後に墓が発見されたときに、指輪もそのままの姿で発見されます。

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古代ローマの金の指輪の価値を理解するための主な基準は以下のとおりです。

 

1 – 本物か偽物か?

 

まず、これは一番最初に重要なことです!アートマーケットには沢山の偽物が出回っていますから気をつけて下さい!

私はパリを拠点に活動をしていますから、フランスの古代美術専門家との交流も頻繁に出来ますし、古代ジュエリーも実際に実物を手に取りながら、学ぶ事が出来ます。古代のジュエリーも他のジュエリーと同様に本や写真だけの情報では理解することはできません、必ず手に取る必要がありますから古代ジュエリーを理解する為にはヨーロッパで学ぶ事が必要です。

そして真贋に関しては作品をいろいろな視点から確認する必要があります。これは例えば、金の表面が摩耗しているから古代の作品である、というようなシンプルな事ではありません。本物の古代ジュエリーには贋作にはない特徴がありますが、それをお話してしまうと、フェイクメーカーがより精度の高い作品を作れるようになってしまう為に、インターネット上ではお話することはできませんが、それ以外で基本的な事をアンティークレッスンでお話させて頂こうと思っています、古代ローマフェアでは数回のレッスンを予定しています。

古代ジュエリーを理解するのに大切な事は、学んだ年月の長さではなく、正確な知識を集中して深く学んだかどうかです。古代の指輪、カメオ、インタリオの分野で私が最も信頼出来る有名な専門家であるフランス人のパートナーは、フランスで美術館、博物館の学芸員になる為の最も有名なグランゼコール、フランス国立古文書学校で研究を行い、23年のキャリアの中で何千ものカメオ、インタリオ、古代の指輪を見てきました。そしてパートナーが言うには、インターネットの普及に伴い以前よりも偽物が市場で簡単に確認できるようになってきているとのことです。

 

もうひとつの問題は部分的な偽物に関してです。

A – 石(通常はインタリオ)は本物だけれど、リングがモダンのもの。

B – リングは本物だけれど、外れてしまった石の代わりにモダンの石を留めている。

C-  石とリングのどちらも本物だけれど、別々につなぎ合わされ、最初に作られた時と同じ状態を保っていないもの。

 

2 – 時代

 

現代に残る古代ローマの素晴らしい指輪の多くは1世紀から2世紀(ローマ帝国時代初期にローマ帝国は金が豊富にある多くの国を征服し、それらの金はローマに送られた為)そして3世紀(多くの金のジュエリーが民族移動の混乱から守るために隠された為)です。

それ以上に古い指輪(紀元前2世から紀元前1世紀、共和政ローマ様式、ヘレニズム様式、エトルリア様式)それよりも新しいもの(4世紀から5世紀、後期ローマ様式、初期キリスト教、初期ビザンチン様式)はさらに希少になります。

 

3 – 状態

 

金はとても丈夫な金属ですが、潰れたり壊れたりすることもあります。その場合、残念ですが価値は著しく低くなります。ほとんどの場合は、金の台はそのまま残っていて、石(宝石やインタリオ)が無くなっているか、ヒビが入ったり、欠けたりして壊れています。金の状態が悪いのはもちろん、宝石やインタリオの状態が割れたり、大きくヒビが入っている場合も価値は著しく低くなります。古代ジュエリーだからコンディションが悪いのが当たり前なのではなく、リングもインタリオも出来るだけコンディションの良い作品を選ぶようにしましょう。

 

4 – 着用できるか否か?

 

基本的に着用できるサイズの物が高価です。小さすぎる指輪や大きすぎる指輪、中が空洞なもの、壊れやすいものは着用しにくいです、そのため、特別に美しいモデルである場合を除いて、これらの指輪の価値は低くなってしまいます。特別なモデルの指輪である場合は、着用するためではなく、コレクターの向けのものとなりますから、価値は下がりません!

 

5 – 質

 

指輪が本物である場合、価値を出すためには質が重要な基準になります。

まず、形がシンプルで、装飾がなく、特別な作品ではなく、重さが軽く、輪の中が空洞で、(エレクトラムのように)金の質が低く、石の質が悪く、インタリオの質が悪い、もしくは大きくヒビ割れていたり欠けている指輪などに非常に高い価値がつくことはありません。

言葉で説明してもなかなか分からないと思いますから、何に価値があって何に価値がないかを写真を掲載しながら説明致します。では低品質から高品質の順に進めていきます。

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古代ローマ時代、2世紀、シンプルな形、程よい重さ、悪いコンディション、大きくヒビ割れて壊れたインタリオ。金の状態も悪いですし、インタリオにもはっきりと目立つヒビが入り、価値は殆どありません。

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古代ローマ、1世紀から2世紀、 シンプルで面白みに欠けるデザイン、  軽量でサイズは小さい。

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古代ローマ、1世紀、 シンプルで面白みに欠けるデザイン、 軽量、 それほど良く無いコンディション。

 

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古代ローマ、2世紀、シンプルな形、インタリオのデザインの主題は普通でありふれたもの« junctio dextrarum»で面白みに欠けます、コンディションもあまりよくありません。

 

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古代ローマ、2世紀後半、 シンプルな形、 中品質なインタリオです。

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ガロ·ロマン、3世紀、シャンクが面白いデザインです、重量は軽く、インタリオはガラスでできています(フランスの個人蔵、ギャラリーにて販売)

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古代ローマ、 3世紀、リングに面白い装飾があります、素晴らしい色と面白い題材のコーネリアン・インタリオ、しかしリングは空洞で状態は良くありません(ギャラリーにて販売)

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古代ローマ、 2世紀、シンプルな形、軽量、 ですが、インタリオ題材は興味深いものです (ギャラリーにて販売)

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古代ローマ後期、 2世紀、シンプルな形、軽量、小さいサイズ、カメオにわずかにダメージがあります、しかし古代のカメオはインタリオよりも壊れやすく、残りにくい為に30倍程の希少性があります(ギャラリーにて販売)

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古代ローマ、1世紀、面白い形 (ギリシャ様式) 、 ベゼルの彫りとモチーフが良く、丁度よい重さで、着用可能な大きさ。ですが、このとても着用しやすいモデルにはたくさんの偽物があるので、特に注意が必要です。

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古代ローマ、3世紀、 全体にとても面白い形です、 丁度よい重さ、着用できる指輪、ベゼルには刻印があります。

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古代ローマ、1世紀、シンプルな形、 軽量、 インタリオは面白いデザインです、 着用可能な指輪。

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古代ローマ後期、2世紀、面白い形、丁度よい重さ、インタリオのモチーフは面白く、着用できる指輪。

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古代ローマ、3世紀、面白い形、丁度よい重さ、インタリオの色は良いけれどモチーフは面白さに欠けます、着用できる指輪(ギャラリーにて販売)

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古代ローマ初期、2世紀、シンプルな形、丁度よい重さ、インタリオは面白く、着用できる指輪(ギャラリーにて販売)

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古代ローマ、2世紀、シンプルな形、丁度よい重さ、着用できる指輪、インタリオのモチーフは面白いけれどごく僅かにダメージがあります(ギャラリーにて販売)

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ローマ、2世紀、面白い形、重量は重く、着用可能な指輪、インタリオの石は素晴らしく、モチーフであるテセウスは面白いです、また完璧な状態を保っています。

このモデルにはたくさんの偽物が存在するので注意が必要です。ほとんどの場合はインタリオは古代ローマ時代のもので、リングが近代(19世紀から20世紀)のものが使われています、またフェイクメーカーは22kを使用することが殆どです。

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ガロ·ロマン、3世紀、シャンクは面白い形の« pelte  » がモチーフです。ちょうどよい重さ、着用可能な指輪、インタリオのモチーフのダイアナは面白くガラスでできています(ギャラリーにて販売)

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ロマノ・ブリティッシュ、4世紀、珍しい時代のもの、玉状のフィリグリーでリングの形が面白いです、しかし、重量は軽く、指輪の状態もあまり良くなく、壊れやすいですが、総じて珍しい作品ですからコレクションとしての価値があります。翠色の石プラースのインタリオは珍しいものです(ギャラリーにて販売)

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古代ローマ、4世紀、 珍しい時代のもの、リングがフィリグリーなどで面白い形をしています、重量は軽く、ベゼルの刻印は劣化していますがコレクションとしての価値がある指輪です(ギャラリーにて販売)

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古代ローマ、4世紀、 珍しい時代のもの、粒金を用いたシンプルな形ですが、コレクションとしての価値がある指輪です。ベゼルのモチーフ« fede » は面白く、装着可能な指輪。

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エトルリア・スカラベ・リング、紀元前3世紀。この時代のものは珍しく、シンプル(ベゼルに金のワイヤーフープが接合した形。この形状はエジプトからフェニキアを通りエトルリアに伝わった)な形で、重量は軽く、壊れやすい指輪。スカラベのグロボロ・スタイルは紀元前3世紀の典型的なもの(ほとんどのエトルリア・スカラベはこの時期のもの)。

エトルリア・スカラベの指輪の多くが19世紀か20世紀のフープを取り付けたものなので、注意が必要です(エトルリア文明が発見された1850よりも後に古代のスカラベをこの形状のフープに取り付けてファッションアイテムとして着用されるようになった為です)。

クリスティーズ、2006年12月7日(ロット251)

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古代ローマ、ヘレニズム期の蛇の指輪、紀元前1世紀。 この時代のものはとても珍しく、面白い形で、重量は重く、完璧な状態の指輪で装着可能です。しかし、この蛇の指輪には偽物がたくさんあるので注意が必要です。

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ローマ帝国期のエジプト、2世紀、2つのベゼルがある非常に面白い形の装着可能な指輪。古代ローマの指輪でエメラルドと真珠を見つけるのは非常に稀で素晴らしい指輪です!石はオリジナルで僅かにダメージがあります(ギャラリーにて販売)

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 古代ローマ、3世紀、ローマ様式に彫られた希少な金の指輪。プレーンなリングがベゼルの土台に装着され垂直なプレートにはロング・キトンを着た神(ローマの神?)が王座に座る姿が彫られています。垂直なベゼルが装着されたタイプの指輪は非常に希少で2世から3世紀に人気があった鍵の指輪シリーズに近いものです(フランスの個人蔵、 ギャラリーにて販売)

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ロマノ・ブリティッシュ、4世紀、珍しい時代のもので、フィリグリーとビーデットワイヤーの装飾はとても面白く、重量も重く、指輪の状態はも素晴らしく着用可能、インタリオの石とモチーフもとても面白いです。(フランスの個人蔵、ギャラリーにて販売)

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古代ローマ、 3世紀、素晴らしい形 、透かし細工、«  interrasile »がショルダー部分に施されています。  重量は重く、 指輪の状態もよく着用できます、とても興味深い石とモチーフのインタリオ(フランスの個人蔵、 ギャラリーにて販売)

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古代ローマ3世紀、非常に美しいショルダー、とても重さがあり、着用可能な作り、コンディションも大変よく、インタリオではないアイアゲートが留められた珍しい指輪です。(ギャラリーにて販売、説明はこちらからご覧下さい)

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古代ローマ、3世紀から4世紀、 珍しい形にショルダー部分に葉のモチーフの美しい透かし彫り « interrasile»。 とても重さがあり、指輪のコンディションは良く、着用もできます、インタリオのないアイアゲートを使用していて非常に珍しいです。

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古代ローマ後期、4世紀から5世紀。 珍しい時代の素晴らしい指輪です。 形もとても珍しく (細工、数珠状の装飾、造粒など)、重量は重く、 指輪は完璧なコンディションで、しかも装着可能の強靱さがあります、インタリオも珍しい最高の色をしたプラースでモチーフはネメシス、クリスティーズ、、ニューヨーク、2003年12月11日(ロット465)(ギャラリーにて販売)

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古代ローマ後期、5世紀から6世紀、イングランドで発見されました (ナショナル・トラスト)。ベゼルが刻まれていて八角形の輪の形をした刻印つきの珍しい指輪です。

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オットニアンの指輪。 10世紀。  クロイスターズ美術館蔵(上)私のパートナーが記念に指にはめた写真です(下)

この最高に美しい指輪は私のフランス人のパートナーが23年間のビジネスで百個以上の古代ローマの指輪と中世の指輪をコレクションとして所有し、販売してきましたが、これが今までのパートナーの人生のなかで最も素晴らしいリングです。この指輪は今はニューヨークのクロイスターズ美術館が所有しています。

 

まとめ

古代ローマ時代のゴールドリングを購入する前に知っておくべき事として、まず第一に本物の指輪を気を付けて選ばなければいけない事と、価値のある指輪が何なのかを知っておく事、古代ローマの金の指輪の参考になる価格例を挙げるのはとても難しいのですが、本物の金の指輪にはピンキリですが、だいたい500ユーロから50,000ユーロくらいの値が付く事を知っておく事です。

例を挙げると、この美しい指輪は2008年にロンドンの古美術商で6,800ポンドの買値がつきました。形も丈夫で、インタリオの石もニコロで美しく、モチーフも複雑で非常に興味深く、インタリオも指輪も完璧なコンディションです。品質からして現在の価格はおそらく10,000ユーロ程になるでしょう。

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« Roman gold and niccolo intaglio ring, The solid plain hoop, flat on the interior and rounded on the exterior, expands to wide shoulders set with a bevelled oval stone engraved with a naked Theseus standing with one leg bent, holding the sword of his father Aegeus before him. A leaf and an inscription in Greek are engraved to the field. Roman. 2nd century AD, Size: J, 4 7/8, Diameter across shoulders: 2.7 cm. Ex. private collection Europe, acquired c. late 1980s. £6,800. »

« 古代ローマの金とニコロ・インタリオの指輪。ソリッドでプレーンな輪、内側が平で外側は丸みを帯びていて、ショルダーへ幅が広くなります。片足を曲げて立ち、父であるアイゲウスの剣をかざす裸のテセウスが刻まれた斜角の楕円の石が留まっていて、平面部分には葉とギリシャ語の刻印が彫られています。古代ローマ、2世紀。サイズ:J、4 7/8、直径2.7センチ。以前はヨーロッパで個人のコレクションとして保管されていたもの。取得した時期は1980年代後半で価格は6,800ポンド »

 

沢山の例を挙げて説明をしてみましたが、では実際にアートマーケットでどのように

古代の作品が紹介されているか例をあげてみたいと思います。

例えば、参考としてグーグル画像検索で

“roman gold ring timeline auctions”

で検索すると古代ローマの金の指輪が検索結果の中に価格付きで沢山出て来ます。

(PS. 検索する時の言葉に忘れずに “” の記号をつけて下さい。  )

でも気をつけて見てみて下さいね。

検索結果に出てくるすべてのリングが本物かどうかは…不明…です

 

 

 

仙波亜希子 Akiko semba

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